中世の雰囲気漂う、ラジャスタン

先月カンボジアにて開催された第37回世界遺産委員会で、インドでは「SIX HILL FORTS OF THE RAJASTHAN」として、ラジャスタン地方にある6つのお城が世界遺産に登録されました。 今回はそんなラジャスタンについてのお話をさせて頂きます。

ラジャスタンは、太陽と月、そして炎から生まれた戦士ラージプート族の故郷です。
彼らは、中世のヨーロッパ騎士と同じように騎士道、名誉、誇りを重んじるとても勇敢な戦士であったといわれ、今でも「ラジャスタンとは、ラージプート族の故郷をさす」といわれています。
神話とラージプート族の「屈辱よりも死を」という信念を礎に築かれたこの地には、今回世界遺産にも登録をされた数多くの重厚な城塞が残っています。
ラージプートが諸国を守るために築いたこれら城塞の凛とした佇まいは、圧巻であり荘厳ささえ感じさせます。

一方、諸国同士の争いが激しくなり不安定となった場所を避けるように通った砂漠路が、中央アジアを結ぶキャラバン隊商たちの重要な交易ルートとなりました。その中継地であった町では、隊商たちによって莫大な富がもたらされ、うるおった宮廷や住人たちは、こぞって繊細で優雅な彫刻が施された大邸宅などを建てました。
今でも当時の建物が綺麗に残っていますが、なかにはそのままそこで生活をしている家もあります。
歴史的建造物といっても、彼らにとっては保存をするものではなく、大切に一緒に生活をするものなのでしょうか。

世界遺産となった城塞も素晴らしいものですが、この地の乾いた空気と、灼熱の太陽の下で歴史と共に生活をする彼らはとても魅力的です。
まるでタイムスリップをしたような町並みへ、ぜひ一度訪れてみてください。
多様な顔を持つラジャスタン地方は、きっと旅慣れた方にも満足していただける場所ではないでしょうか。