日本初公開!世界らん展 GOKUSHINGII(ゴクシンギー)と日本人と先住民の知られざる物語

日本初公開!世界らん展 GOKUSHINGII(ゴクシンギー)と日本人と先住民の知られざる物語

今回は、先日東京ドームで催された「世界らん展日本大賞2012」から、少し心温まるお話はいかがでしょうか?

「世界らん展」は、約20カ国・地域で生育する3000種類、10万株におよぶの蘭が展示され、毎年多くの入場者が訪れるイベントです。今年は特別展示「蘭の宝石箱~ボルネオ~」が行われ、会場は平日の午後にもかかわらず大盛況でした。特別展示は60~90分待ちの行列! でしたが、しっかりと並び、興奮し過ぎて手ぶれ気味の写真を撮ってきました。

ところで、なぜマレーシアの「らん(欄)」が世界らん展の特別展示として、大きく取り上げられたか、不思議に思いませんか?

実は、マレーシア東部のボルネオ島は、地球上の10%の蘭が生息しているといわれています。さらに、青い蘭に限っては現時点では世界広しといえども、ボルネオ島に生息する3種のみで、3種同時展示は今回世界初!ボルネオ島東部にあるマレーシア・サバ州から特別に許可を得て、蘭保護施設より3つの青い蘭がついに来日したのです。

その中の一つ「GOKUSHINGII(ゴクシンギー)」は日本初公開で大変貴重な展示でした。

この「GOKUSHINGII」という名には、こんな物語がありました。

日本人写真家の稲守敏郎さんは15年前からボルネオ島に渡り、幾度目かにサバ州を訪れた時、一人の青年と出会いました。その青年は現地のガイドから紹介された先住民族で、ボルネオ島で生まれ育ち、島の虫や島に咲く花について知り尽くしていました。
ある日、彼と一緒にいつものように標高2,000メートルの山間を観察のために歩いていると山深い倒木にひっそりと根付いていた青色が際立つ小さな花を偶然見つけたそうです。

彼らはサバ州動植物園に株を持ち帰り、大切に観察を続けたところ、遂にその青い蘭は2008年英国王立キュー植物園のワールドチェックリストに記載され新種登録されることになりました。新種が世界的に認められ、登録されるというのはとても長い時間がかかるようで、90年代後半の発見から、実に10年以上の月日が流れていました。

一般的に、新種の命名は第一発見者である稲守さんの名前が付けられるのですが、稲守さんの強い希望から、「クレイソセントロイン属ゴクシンギー」と命名されることになりました。
一緒に探した先住民族の若者の名前こそが、「ライノス・ゴクシンギー」さんだったのです。
この花を発見し歴史に名を残す栄誉はボルネオの先住民族が最優先されるべきという稲守さんの敬意と心配りから小さな青い花は青年の名前が付けられ、世界のニュースになりました。

世界に一つだけの花。
一人の日本人と、一人のマレーシア先住民族の温かい交流と物語がここにありました。

マレーシアリゾートクラブのホームページ
http://mrcjapan.m78.com/