小笠原でのお見送り

小笠原でのお見送り

旅は多くの出会いと別れがあり、1つの旅行で人生が詰まっていると言っても過言ではありません。それは旅人ばかりではなく、現地の人々も旅人とお別れするのは寂しいものです。

今回は小笠原のお見送りシーンのお話をします。おがさわら丸が父島を出港する時は、小笠原の人々は遠い島まで来てくれた方々に感謝の意を込め、現地のボートが二見湾口まで並走してお見送りをしてくれます。小笠原のお見送りは『行ってらっしゃーい!』と船上の方へ声を掛け、ボート上から海に回転しながら飛び込み、泳ぎながら手を振る人などに応える船上の方々。

まさに海ならではのお見送りシーンです。小笠原でイルカと泳いだりトレッキングしたり、多くの想い出を胸に刻んだとしても、多くの方が小笠原の一番印象的に残る想い出は、この出港シーンになることでしょう。このお見送りに感動して、おがさわら丸の甲板の上では多くの人が涙を流し、また小笠原へ来ることを誓います。

そして…その別れのシーンが1年のうち最も感動的なのがちょうど今頃、今年で言えばまさしく本日4月6日、母島及び父島を出港する船です。…と言うのも4月1日は公務員の方々の辞令の日。新たに小笠原へ赴任するする人たちは4月2日に竹芝を出港した船ですでに来島、そして今日は、数年間にわたって小笠原で勤務していた人たちがいよいよ島を離れる日なのです。

母島では10:30に出港した父島行きの「ははじま丸」が島に沿って北上。島の高台では大きなのぼりが立ち、船に向かって手を振ったり、旗を振る人たち、そしてパトカーまでもがサインを点灯させ見送ります。
そして父島。二見港を14:00に出港した「おがさわら丸」には、お世話になった先生を見送る子供たちがボートに乗って並走します。「先生さよなら~」「またきてね~」…甲板で手をふりながら号泣する先生を見つけ、私たちも思わずもらい涙。やがて船はスピードを増し、追いかける事を諦めたボートから子供たちが次々と海に飛び込みます。と同時に海から顔を出し、皆で船が見えなくなるまで大きく手を振り続けるのです。

今、この文章を書いていてもあの時のシーンを思いだし泣きそうになります。そして今日もまた、多くの旅人たちがそんな別れのシーンに胸を打たれている事でしょう。

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