タイ王国と象の深い関わり

タイといえば「象」をイメージする人も多いと思いますが、そのイメージはどこから来たのでしょうか?

タイには象とともに歩んできた歴史と文化があります。今回は“タイ王国と象の深い関わり”について、お話ししてみたいと思います。

タイ国土の形は、象の横顔に似ているといわれています。是非地図を優しく眺めてほしいのですが、カンボジア方面に広がるタイ東部が象の「耳」、ミャンマー側のタイ北部は「額」、マレーシア方面に南下した細長い半島は「鼻」で、象のつぶらな「目」がバンコクです。見えましたか?

タイに生息する象は、東南アジアを中心に分布している「アジア象」で、アフリカ象と比べ、少し体が小さめです。とはいえ、地上最大の動物なだけに、体長6m、体高3m、体重は4トンもあります。寿命は60年以上あり、人を識別する高い能力をもつため、象使い一人に対して象一頭のペアで深い信頼関係を築いていきます。

象使いの存在からもわかるように、タイには飼いならされた象がたくさんいます。

古くは13世紀のアユタヤ時代に騎馬戦ならぬ騎象戦に登場し、巨体が生み出す時速40キロのスピードは大きな戦力だったと想像されます。その後は、山岳地帯で丸太を運ぶ林業の担い手として、また芸を身につけショーで披露する観光の立役者として活躍しています。2004年のスマトラ沖地震で被災したプーケットでは、重機が機能しない場所で24頭の象が象使いと共にがれき撤去作業にあたり、心身両面からタイの人々を支えました。

一方、野生の象は減少の一途をたどり、20世紀初頭には10万頭以上いた象は現在10分の1以下に減少し、絶滅危惧種に指定されています。アジア象は直射日光に弱く、日陰など涼しいところを好むため、ほとんどがタイ北部と東部に生息しており、「野生動物保護区」や「国立公園」で保護されています。この保護区の面積にも限界があるため、新たな形で象と共存する社会が求められており、タイでは毎年3月13日を「象の日」に定めて国民が象の保護について考える日にしています。この日は動物園や保護施設にいる象に大好物のバナナやスイカ、パイナップルが振る舞われるなど、各地で記念行事が行われます。

タイには至る所に仏教やバラモン教の寺院があって、そこで多くの象の彫刻や像を目にします。特に「白象」は信仰の対象として崇められており、仏教では「ブッダの生まれ変わり」、バラモン教では「ガネーシャ神」として登場します。

この白い象、想像上の生き物ではなく、実際に存在します。

タイには「象法(野象保護法)」なるものがあり、白象が発見されると国王に献上しなければなりません。白象には偉大な王や英雄の霊が宿っているとされるためで、発見者から知事を経由して宮内庁に報告され「コッチャ・ラック(象相学)」の専門家が検査をします。検査項目は、体全体の色や体毛など、全部で11項目あり、うち7項目を満たしていると「白象」として認定され、国王に献上されます。献上式後は「お召し象」として宮中で生活するため、一般の人が目にする機会は王室行事などの時だけ。白象の世界をのぞいてみたい方は、ロイヤルエレファントに関する小さな博物館「ロイヤル・エレファント・ナショナル・ミュージアム(バンコク)」へ足を運んでみて下さいね。