朝鮮王朝時代が今も残る街・安東と河回村

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韓国の中央部・慶尚北道(キョンサン・プクト)北部の中心都市に安東(アンドン)という町があります。長い歴史を持つこの町は朝鮮王朝時代、多くの両班(ヤンバン)[韓国の貴族階級]が首都のあったソウルの中央政府の高官に登用されました。

この安東から車で西へ30分くらい言った所に河回村(ハフェマウル)という村があります。洛東江(ナクトンガン)がU字に曲がった部分に約180戸の伝統家屋が残っており、中世の街並みを今に伝えています。ヨーロッパなどと違って現存する伝統家屋村が少ない韓国にとって非常に貴重な村と言えます。村に入ると今まで見てきた田舎の現代建築の町並みから、突然風景が変わります。人の背丈くらいの高さの土壁、独特な曲線美を持つせり上がった瓦葺屋根を頂く木造家屋が迷路のように入り組んで建っていて、中世韓国にタイムスリップしたようです。いつまで散策しても飽きることがありません。

その村の一番奥に澹然斎(タミョンジェ)と呼ばれる伝統家屋があります。歴史ある建物が並ぶ河回村の中でも、敷地の広さと言い、建物の立派さと言い、一段上の風格を備えた屋敷です。ここが韓国の俳優で、日本でも歌手として活躍しているリュ・シウォンさんの実家です。柳時元(リュ・シウォン)さんは両班の末裔でお兄さんが柳家の当主を務めています。ご先祖には豊臣秀吉の朝鮮出兵[文禄・慶長の役 韓国名:壬辰倭乱]時に領議政(ヨンイジョン)[総理大臣]を務めた柳成龍(リュ・ソンニョン)がいます。日本ではあまり知られていませんが、韓国では知らない人がいないくらい有名な歴史上の人物です。

また河回村は昔から仮面劇が盛んで、現在も週に3回の常設公演が行われています。ストーリーは両班を批判したものが大半です。両班を多く輩出した土地ですが、その支配に対する抵抗精神も旺盛であったようです。こうした韓国の国教たる儒教文化に彩られた安東・河回村は料理も発達しました。有名なものとしては東海岸で獲れた鯖を塩漬けにした安東塩鯖、祭礼の時のごちそうを模した虚祭祀飯(ホチェサパプ)、韓国を代表する伝統酒・安東法酒があります。

2010年にユネスコの世界遺産にも登録され、イギリスのエリザベス女王やアメリカのブッシュ大統領も訪れました。周辺にも由緒ある寺院や書院が数多くある安東と河回村。ソウルとは違った韓国と出会うことでしょう。