「ネパールの中のチベット」ムスタン

「ネパールの中のチベット」ムスタン

皆さんは「ムスタン」という場所をご存知でしょうか? ヒマラヤの国ネパール中部の最北端に位置する地域で、中国のチベット自治区と国境を接しています。国としてはネパールに属していますが、歴史的・文化的にはチベット文化圏に属し、チベット語を話すチベット系の民族が暮らし、チベット仏教のお寺が点在しています。2008年にネパールの藩王制が廃止されるまで、ネパール内の「王国」としてジグメーパルバル・ビスタ王が高度自治を行ってきました。1991年までは外国人の立ち入りが禁止されていたため「禁断の王国」などとも呼ばれていました。鎖国していたチベットへの密入国に成功し『チベット旅行記』を著した明治時代の仏教僧、河口慧海がチベットへの間道を探るためにムスタンに滞在していたことでも知られています。

首都ローマンタンの標高は3700-3800mほど。チベットとネパールを結ぶヒマラヤ山脈を越える「塩の道」の要衝として栄えてきました。飛行場もなく、つい最近まで自動車道路も繋がっていなかったため、文字通り「陸の孤島」のような場所です。そのため、古いチベット文化がタイムカプセルのように残されています。

今年8月、そんなムスタンを訪れるツアーに同行してきました。
チベット的な荒涼とした大地、かなたに見える白きヒマラヤ、短い夏に咲き誇るピンク色のソバの花、仏教の伝統を守る各地の僧院、そこに残された世界遺産級に貴重な壁画、素朴で優しい人々・・・。悪天候でフライトが欠航したり、大雨で川が増水して道路が流されるなど、ハプニングも満載でしたが、幸い大事には至らず、ムスタンの魅力を満喫することができました。詳しい報告記はこちらをご覧下さい。今後、ますますインフラが整備され、訪れるためのハードルが下がるでしょう。ただ、それに伴いムスタンの素朴な魅力が薄れていくことは避けられません。発展途上の今だからこそ、ムスタンがお勧めです。

添乗報告記
【ジープで行く】禁断の王国・ムスタン探訪10日間(2018年8月)

来年の春以降も企画予定です。
ネパール最奥に息づくチベット世界
【ジープで行く】禁断の王国・ムスタン探訪10日間

風の旅行社 公式サイト