タンザニアには約130のエスニックグループが生活しています。
今回は少数のエスニックグループ「ハッザ」の人々を少しだけ紹介いたします。
私が訪問したのは2月下旬の午前9時半頃でした。
彼らハッザは狩猟採集民です。家畜を持たず、農耕もしません。
夜明け前に狩猟に出掛け、仕留めた獲物は村人全員で分けます。
今日の収穫は何だったのか聞いたところ、小さな動物だと教えてくれました。
ちょうど、矢を作っているところに遭遇しましたので、見学していると、鳥を狙う場面を見せてくれました。驚いたことに彼らは全く足音をたてません。
古タイヤで作ったサンダルを履いているのですが、本当にまったく音をたてずに歩く習慣が体に染みついているのでしょう。狩猟とはそういう事なのだと知りました。
あえなく、鳥は飛んでしまい、狩猟は失敗しましたが、また元の場所に座って、そこいらにある灌木を手に、矢作りを始めました。そばには手作りの弓もあります。
弓に張る弦はキリンやインパラの靭帯を使い、矢に付ける毒も灌木から作ります。
女性たちは、簡素な小屋の前に座っていました。
一番年配の女性が小さな焚火でヤムイモを焼いているようでした。
一人の女性は膝に子供抱いていましたが、どうやら授乳の時間らしく、私たちのメンバーには通訳の男性も含めて2名の男性がいましたが、そんなことは全くお構いなしに子供に授乳を始めました。
他の女性たちはビーズでアクセサリーを作っていました。このアクセサリーは観光客に売るための物で、道中の土産物屋の物より少し安かったです。
サイズは大小あるのですが、値段はどれも同じで、おつりがないので、きっかりのタンザニアシリングを要求されました。
そうこうするうちにヤムイモが焼きあがったようで、小さなナイフで、手のひらをまな板にして器用に切り分け、女性たちに均等に分けて、美味しそうに食べ始めました。
このヤムイモも栽培しているのではなく、野生の物を探して食します。
一番年配の女性が大きな芋を探すのが上手と話してくれました。
わずかに、矢じりに打ち込む釘や、ビーズ類、布などを森で手に入れたはちみつと交換して手に入れています。
水道はもちろん、井戸もなく、生活に必要なほとんどの物を森から入手し生活している彼らにも近代化の波は確実に押し寄せています。
自由に行き来できる土地がどんどん狭まり森も切り取られていく現在、決して明るい将来があるようには見えませんが、ハッザの人々の暮らしが受け継がれていくことを願ってやみません。