カンボジアの首都プノンペンのデートスポット

カンボジアの首都プノンペンは大都市だけあって、さまざまなデートスポットがありますが、健康志向の若者に人気なのが、市の中心部に位置するオリンピッ ク・スタジアムです。ここは、さまざまなスポーツの試合や関連イベントが行われるところで、市民が気軽に運動を楽しめるように、1日のうちで比較的涼しい 早朝や夕方、バスケットやテニスのコート、卓球場、陸上トラックなどの施設が開放されます。

と言っても、単にバスケやテニスを楽しみながらデート、というだけの話ではありません。

薄暗い空の下に広がる楕円形の大きなスタジアム。その最上部にあるアスファルトの通路には、大型スピーカーが発する大音量の音楽とともに、体をもさもさと 揺らす人々の姿が。カンボジア版のエアロビを楽しむ市民(写真)です。スタジアム最上部では、こうした「大音量deエアロビ集団」がいくつも見られ ます。

気になる音楽は、カンボジアで人気のK POP(Khmer POP=カンボジア・ポップの意)やロック、ラップなど。先頭に立つ先生にあわせて参加者みなが同じような動きをし、老若男女が日ごろの運動不足を解消します。そのなかに、ぽつぽつとカップルの姿が……。

さらに!

場が盛り上がってきたところを見計らい、先生が音楽を切り替えます。そこからカンボジア人が大好きなロアム・ヴォン(「円になって踊る」の意)の開始で す! ロアム・ヴォンはその名が示す通り、円を描きながらゆったりと踊る民俗舞踊で、踊り好きのカンボジア人にとっては、パーティーやお祭りの締めくくり に欠かせないものです。特に若者たちにとっては、堂々と異性を誘って踊る絶好のチャンス。というのも、プノンペンのような都会では大きく変わりつつあるも のの、普段の生活のなかで未婚の男女が二人きりでデートというのは、カンボジアの伝統的な価値観にそぐわない行為だからです。

オリンピック・スタジアムのロアム・ヴォンは、運動の一環として行われているものですが、ひょっとしたらこうした価値観を気にする若者たちにとって、「ロアム・ヴォンならいいだろう…」という都合のいい口実になっているのかもしれませんね。

一方、民俗学的な視点に立つと、ロアム・ヴォンが描く円は生命の源泉であるという説があります。その背景には、樹木や台風、竜巻、渦などの自然現象は、 円の中央を源として成長したり、その力を増大させたりするからだという考え方があります。そういう意味では、ロアム・ヴォンでデートというのは、将来を見 据えた着実な一歩とも言えるのでしょう。ちょっと気が早いだろうと突っ込みたくなりますが……。

1回1~2時間程度の大音量エアロビは、その場で1000リエル(約20円)ほど払えば参加できますので、ロアム・ヴォンで愛と生命を育んでみたいカップルのみなさんは、ぜひ試してみてはいかがでしょうか?