バードウォッチングは英国が発祥と言われ、欧米人を中心に広まってきました。自然の中で生きる鳥たちを離れた距離から双眼鏡や望遠鏡を使って観察するこの趣味は、自然に優しく、鳥たちに危害を加えるものでもありません。(ちなみに米国ではバーディングと呼び、親しむ人たちをバーダーと呼びます。)
バーダー人口は近年、アジアでも急速に広がりつつあり、日本の次に熱心なのは台湾です。日本の支援で野鳥図鑑が発行されてから15年、今では日本以上に野鳥の保護に熱心な国となりました。そして日本同様に観察だけでは物足らず、野鳥写真を撮る事を目的とする人々が増えてきました。
写真は台湾のとある山中にあるサンケイ(雉の仲間)という希少種の観察ポイントです。カメラマンたちがレンズを構え、目的の鳥の出現を今か今かと待ち構えています。彼らの持つレンズは概ね600mmサイズで価格は100万円以上の代物。生活が豊かな証拠とも言えます。
やがてズラリと並んだレンズの前に現れたサンケイ君。連続シャッター音を浴びながら優雅にお食事タイムです。実はこの食事はカメラマンたちが用意したもの。いわゆる餌付けと呼ばれる行為です。これには賛否両論ありますが、当のサンケイは気にする様子もなく居並ぶカメラマンに惜しげもなく自慢の羽根を見せつけます。
こんな風景は実は以前から日本のあちこちの山中で見られていたもの。そんな日本のバードウォッチング文化が撮影の分野まで伝わったのは果たして喜ぶべきか否か…。そして以前は鳥は見るものではなく食べるものと豪語していた中国大陸にも野鳥カメラマンが育ってきました。きっと写真好きなアジア人DNAがますます広がって行くことでしょう。