日本の船名につく「丸」の由来とは

プリンセスクルーズのテレビCMも始まり、やっと日本でもクルーズブームの兆しが見えてきました。 プリンセスクルーズ社はアメリカ生まれの船会社ですが、日本では現在クルーズ会社が3社あり、3隻の日本生まれのクルーズ客船が活躍しています。その中で も「にっぽん丸」という船の「丸」についてお話しいたします。

日本の船にはなぜか「丸」のつくものが多く存在します。日本人にはさほど不思議とは感じませんが、外国人にその理由を問われて、「はて?」と答えに困った経験を持つ人もいるはずです。

歴史的にみると10世紀頃からすでに「丸」のつく船名は頻繁に使われていました。その起源は古く、語源の説明として最も代表的なものが「麿(まろ)」の転 化だとする説。もともと自分のことを「麿」と言っていたのが、のちに、「柿本人麿」のように敬愛の意味で人につけられるようになり、それがさらに愛犬や刀 など愛するもの・愛用するものに広く転用されました。その「麿」がやがて「丸」に転じ、船にもつけられるようになったという説です。

もうひとつは、「本丸」「一の丸」などといった城の構造物を呼ぶときの「丸」からとられたという説。つまり船を城に見立てたという説です。このほかにも諸説があり、いずれも決定的とは言えません。

明治期に制定された船舶法取扱手続きに、「船舶ノ名称ニハ成ルベク其ノ末尾ニ丸ノ字ヲ附セシムベシ」という項があります。語源の説明とは言い難いのですが、これが明治以降の日本商船の船名に「丸」がつく大きな理由になったとも言われています。

いかがでしたでしょうか?

2013年6月末に引退した「ふじ丸」の最後の船長である番留船長が引退セレモニーで次のように仰っていました。「ふじ丸が引退しても、その精神や伝統は今後も活躍する日本客船に引き継がれる。船の魅力を多くの方に知っていただき、今後も多くの方にクルーズ客船を利用していただきたい」

と。船名に「丸」の付く船は伝統的であり、その時代を生きた息吹が感じられます。漁船でも遊覧船でも船を愛するすべての人にとって是非知っていただきたいお話しでした。