客船ならではの情緒ある風景『紙テープで別れ』の由来とは

客船ならではの情緒ある風景『紙テープで別れ』の由来とは

今回のお届けするのは船旅の感動をさらに盛り上げてくれる紙テープのお話。じつは以前にもこの旅専facebookで紙テープについて書かせていただいたのですが、今年はなんと “紙テープ誕生100年” ですので、ちょっと詳しくご紹介させていただきます。

出港時、岸壁と船を結ぶ何百もの色とりどりにはためく紙テープは、他の乗り物にはない客船ならではの情緒ある風景だと思いませんか? 岸壁と船を紙テープでつないで別れの出港をするのは、実は日本人のアイデアであり日本だけの習慣です。

今からちょうど100年前の1915年、パナマ運河開通記念に太平洋側で開かれたサンフランシスコ万博で始まりました。万博に出展した日本の業者が、「梱包や輸送の際に品物の間に詰め込めば、製品を衝撃から守れます。また、商品のラッピングのアクセントにいかが」と紙テープを宣伝、出品したのですが、全く売れませんでした。緩衝材としては無料の古新聞がありましたし、ラッピングとしてはすでに布製のリボンが欧米では普及していました。セールスマンはアメリカでの不安な生活、大量の在庫、毎日かさんでいく滞在費に途方に暮れていました。

そこに当時サンフランシスコで商売をしていた日本人が同胞の苦しい状況を聞きつけ、助けるための案を考え出しました。港には万博のため世界各地から客船がたくさん来ています。出港間近な船の周囲は人が集まり、外国航路の優雅な客船を見物に来たり、見送りに来たりしていました。そこに紙テープの箱を積み上げて、テープを風になびかせて見せ、
「さて、皆さん、このテープで別れの握手をしませんか」
と見送りの人々に向かって販売しました。「テープで別れの握手」の言葉に紙テープは大ヒット商品になったとのことです。

その後、紙テープでの別れは日本船では定着しましたが、外国船では定着しませんでした。ちなみに船が出港後、岸壁に残ってしまった紙テープは、環境保全から水に溶ける紙テープを使用していますのでご安心ください。

今から100年前のある出来事によって今日のクルーズの魅力である「別れの感動」が生まれました。
少しでも船に興味を持っていただければ幸いです。

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