フィンランドのトナカイとサーメ人

今年は、オーロラの当たり年ということで、多くの日本人が北欧や北米等の北極圏を訪れています。北極圏と言えば、サンタクロース、サンタクロースと言えばトナカイ。ということで今回は、北欧の北極圏・ラップランドのトナカイについてのお話です。

「トナカイ」は、英語ではreindeerと言います。rein(手綱のついた)-deer(鹿)という言葉からも推測できるように、ノルウェー・スウェーデン・フィンランドのラップランド内には、野生のトナカイは1頭もいません。すべて、人々に飼われているトナカイなのです。というのも、最近では変わってきているようですが、昔からラップランドの先住民族と言われている「サーメ人」(もしくは、サーミ人)はトナカイの放牧で生計を立てきたからです。

そんなトナカイですが、フィンランドのラップランド・エリアだけで、20万頭もいるというから、びっくり!そんなにいて、「トナカイの所有者がだれかわかるの?」と思われること思いますが、実は、トナカイの耳に所有者独特の切り込みを付けていて、それで識別できるようになっております。

さらに、そのマークは組合で管理され、同じものがないようになっているのです。その中の一部にはトナカイがどの家族に属しているかわかるように、家族特有 の切り込みマークがあります。ちょうど日本の「家紋」のようなもので、、大まかにどの家族のものかもわかるようになっているというから、驚きです。

その「トナカイマーク」ごと相続し、家族内の別の人へ受け継がれていくのです。つまり、トナカイはサーメ人にとっては重要な財産だということです。
また、それゆえサーメ人には、「トナカイ何頭所有していますか?」という質問はしてはいけないと言われています。日本で言えば、「銀行にいくら預金がありますか?」といった質問としてとらえられるようです。