インドのスパイス

インドで一番暑い季節がやってきました。
さて今回は、暑国インドの料理といったら、カレー(Curry)!ですが、このカレーに深い関わりのある“スパイス=香りを持つもの”についてご紹介させて頂こうと思います。

みなさんからよく聞かれる質問があります。
「インド人は3食カレーを食べるって本当ですか?」

答えはYESです。

ただ、正しくは、スパイスを加えて炒めるような、野菜・卵の料理もインドでは“おかずの一種”で、これをインドではカレーとは言いませんが、日本ではどれも「カレー風味=カレー」ですので、この答えは、日本人からしたらYES!ということになります。

インドでは一口にカレー料理といっても、豊富な“スパイス”の組み合わせで、たくさんの種類の味を作ることができるので、たとえ同じ食材を利用しても、違う味の料理が完成です。

このスパイス、世界に数百種あると言われていて、(ハーブ=香草 になると万という数になるとか!?)その土地ならではの事情でスパイスが利用され、広まってきました。

例えばインドでは、暑さの厳しい国ですので、どうしても食欲が減退しがちになります。そんな時に食欲を増進する作戦!として、さまざまな香りや抗菌作用のある、特に辛味スパイスに目が向き、多くの種類と量のスパイスが使われるようになっていったと考えられています。
(よく使われるスパイスは、ターメリック=ウコン、ブラックペッパー、クローブ=丁字、カルダモン、シナモン、パプリカ=甘唐辛子 etc.)

はたまたヨーロッパでは、広い土地を有するので遠方まで食料を運ぶ時や、冬に食材を保存する方法として、つまり腐敗を防ぎ保存するために使われるようになったとか。
実はヨーロッパ(特にローマ)とインド、昔は香辛料貿易が盛んだった時代もあり、その時のルートを、シルクロードのように “インセンスルート(香の道)” と呼ぶようですよ。

では、日本はどうでしょう。
日本では、新鮮な食材を、素材の味を大切にして食べることが多いので、スパイスを組み合わせて使うことは比較的少ないのではないでしょうか。日本のスパイスであげられるとしたら、しょうが、山椒、わさび など。これらは保存のために使われることもありますが、“薬味”ポジションでの利用が多いですよね。

あまり馴染みのなかった私たちには“スパイス=辛いもの”と意識しがちですが、世界で数多く使われているスパイスで辛味を伴うものはわずかです。“スパイス=香りを持つもの”と理解して頂くと、最近日本でも出まわって来ているマサラチャイ(紅茶)も“スパイス入りの飲物”だと気付くはずです。なんて上手なスパイスの使い方を知っているのでしょう!

いかがでしたか。
みなさん「インド人は3食カレーを食べる」のではなく、「3食“スパイス料理”を食べている」 という意味を少しご理解いただけましたでしょうか。

これから来る夏に向けて、“スパイスを利かせて!?”暑さを撥ね退けてくださいね!